夢織り女

 ジョイン・ヨーレン著/村上博基訳 ハヤカワFT
今日もファンタジーです。前回の『妖女サイベルの呼び声』とは違いこちらは短編集。ヨーロッパの伝統的な妖精譚や民話の形式で語られるため、物語一つ一つは非常短くなっています。こういう形式のファンタジーの多くは、出来事や展開は不条理で意味のわからないものなのに、何故か感情的には納得できてしまうというものが多いように思います。この作品もその例にもれず不思議で説明不能なのにどうしてか楽しめてしまうんです。寓意を考えたりする楽しみ方もありますが、僕はそんなに深く読める性質でもないし、不思議は不思議としてそのままとっておきたいという考えも持っているので、読んだままのその姿で楽しんでいます。ただ、この楽しみ方だと、人に薦めるとき面白さを言葉で表現できなくて困ってしまうんですけどね。
それにしても、天野喜孝のイラストはよくこの作品にあっているなぁ。