アメリカの鱒釣り

アメリカの鱒釣り (新潮文庫)

「ブローティガンの本」でした。エッセイなのか小説なのか、とか言う以前に実にブローティガン的な本でした。

ブローティガンが自由に書き出した文章は、場所によってはさっぱり意味がわからないし、本全体として何が伝えたいかなんてのもまったく見えてこないけど、それなのにとても面白い。
頭の回転を停止して、訳者註もあるけどそれも読むのは後回しにして、ともかく文章を追っていく。そうすれば、笑いがこみ上げてきます。いい本です。

あと、やはり村上春樹の作品のエッセイや短編はこの作品によく似ていますね。春樹自身がブローティガンの名前を出したことがあったかどうかは覚えていませんが、影響はかなり強いように感じました。直木賞だか芥川賞だかで落とされた時、選考委員から「アメリカにかぶれすぎ」と言われたのも分かる気がします。