筋肉男のハロウィーン

筋肉男のハロウィーン―13の恐怖とエロスの物語〈2〉 (文春文庫)

筋肉男のハロウィーン―13の恐怖とエロスの物語〈2〉 (文春文庫)


タイトルに惹かれて読みたかった作品集。
友人から随分長く借りてしまいました。
副題が、「恐怖とエロスの物語」とありますが、残念ながら、あまりエロくは無かったです。
むしろ、男女の性差から来る歪みや不理解に焦点を当てたホラーを集めたような感じでした。
表題作のレイ・ブラットべリ作「筋肉男のハロウィーン」は、日々筋肉を鍛えつづける30代独身男とその母親の話で、滑稽なタイトルとは裏腹に、静かに気味の悪さを伝えてくる作品でした。
これに限らず、生理的に気持ちの悪い作品が多くて、特にリサ・タトルの「バースデイ」やアーサー・マッケンの「セレモニー」、クレメント・ウッドの「ハネムーン」などは、読んでいて手の肌がザワザワ鳴りました。ただ、テーマがテーマなので、女の人が読むと全然違った印象を持つのかもしれません。
一番面白かったのは、アーサー・コナン・ドイルの「奇生体」でしょうか。催眠術師の女性に迫られる男の話で、特に新しい感じはしなかったんですけど、主人公が徐々に精神的に追い詰められていく様子にのめりこんでしまいました。
あ、でも、デーヴィッド・キュールの「初体験」もオチが無茶苦茶馬鹿馬鹿しくて好きです。