異形の愛

Geek Love

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何故か、日本語版がはまぞうで検索しても出てこないので、洋書の方を表示しておきます。
アルファベットアレルギーの僕の読んだのは無論日本語版の方。
日本版タイトルは『異形の愛』。作者はキャサリン・ダン。
訳は柳下毅一郎。発行所は聞いたことも無かったですが、ペヨトル工房
表紙は、角川ホラー文庫によくあるコンピューターで適当に作ったような安っぽくて意味の分からない模様です。


さて、ストーリーはと言うと、アメリカを転々と移動する経営難のサーカス団。
その団長はその状況をなんとかするため頭をひねり、出した答えが「自分の妻を毒物や放射線を与えて、奇形の子供をたくさん産んでもらい、そいつを見世物にしちまおう」というもの。
妻も元々変わった、というか頭のねじが緩んだ人なので、夫の提案に喜んで協力。
画して、二人の間には、手も足も無いアザラシのような長男、頭が二つで手が四本足が二本のシャム双生児な長女&次女、小人で背虫の三女、見た目は普通だけど念力みたいなのが使える次男という立派な「フリークス」達、そして無数のホルマリン漬けにされた失敗作が出来ました。
・・・と此処までが序盤。
この後、彼らによるホームドラマが展開されます。
愛し愛されドタバタする家族の姿。
ですが、勿論「フリークス」と「普通人」の違いが影響し、ただ普通のホームドラマにはなっていません。やたらと血なまぐさいことが起こります。


ただ、この作品、奇形や近親相姦などのエログロなネタが随所に登場しますが、読み手は見世物小屋の「観客」視点ではなく、あくまで「見られる側」に立つことになります。
「フリークス」側の心境・生活が中心となっているため、江戸川乱歩作品のような観客的なエログロ嗜好やゴシック怪奇の嗜好などを求めると、「怪異のネタバレ」をされたような・見なくていい色あせた舞台裏をみたようなガッカリ感を味わうかもしれません。僕は味わいました。


ついでに、解説に書かれていたのですが、この「異形の愛」を映画化する話があったそうです。
監督はティム・バートン。これはとても面白そうなので、是非見てみたいですね。
ただ、この本が出たのが1996年7月7日。もう10年程経っています。
なのに、全く音沙汰が無い・・・多分、無理だったんでしょうね。