狂鬼降臨

狂鬼降臨 (ふしぎ文学館)

狂鬼降臨 (ふしぎ文学館)


 マンディアルグが好きだとか、古屋兎丸が好きだとか、平山夢明が好きだとかなら「どんな本読んでるの?」って聞かれて思わずその名前を上げてしまったときに言い訳のしようがあります。シュルリアリズムやらサブカルやら実話系怪談作家やら、別に自分はそこを楽しんでるわけではないけれど紹介する時に相手の反応を和らげてくれる、社会的に顔向けできる部分が、エログロ作家にだって一つや二つあるものなのです。それがたとえ、「快楽天」や「LO」だって、多分探せばどこかに申し訳の立つところがあるのだと思います。

 でも、この友成純一だけは駄目。
 ただただ不健全一直線。どこのページをを開いても凄惨な描写。
 電車内で読んでいて偶然その文章が目に入ってしまった隣の人に「なんてもん読んでんだ」と問い詰められて、公然猥褻かなんかで駅員に突き出されても、ちょっと言い訳のしようがないぐらい、ひどいですし、ひどさ以外の何物もないです。
 この一途さが面白いところではあるけれど、いくら面白いからといってこの本の話を家族同僚友人知人にできるかというと、それはちょっと無理な話ですね。