黒馬物語

 アンナ・シュウエル著/土井すぎの訳 岩波少年文庫
ある一匹の馬の一生が当の馬の視点で語られます。話としてはさほど面白いものではないのですが、とにかく作者の馬に関する詳細な知識に驚かされます。19世紀のイギリスにおいて馬がどのような役割をし、どのように扱われたかがよく分かり、読んでいくとどんどん馬に関する知識が増えていくので、まるで出来のいい教科書のような作品です。物語自体より、提示される情報の方が面白いという変わった作品でした。あと、馬は大切に扱わないといけないよ、という作者の思いが凄く強く現れています。良いも悪いも持ち主次第。