マッチョとカボチャ

本というものを手に取る時に重要になる要素の一つはタイトルです。買い手はタイトルを見てその本が自分の求めているものか判断しますし、売り手もその本のニーズにあったタイトルや印象に残るタイトルを考えるわけです。
そんな中でもSF小説には特に凝ったタイトルが多いです。ハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」やフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 なんかはタイトルが凝っていてかっこいい作品としても有名です。一度聞いたら忘れられないタイトルですよね。
また、ものすごく変わったタイトルというか、信じられないようなタイトルの本もあります。フレドリック・ブラウンの『さあ、気ちがいになりなさい』 なんて初めて聞いたときには「出版して大丈夫なのか?」と驚いたものです。奇想コレクションで出版予定のウィル・セルフ著『ごっつい野郎のごっつい玩具』というタイトルも非常にインパクトがあります。どんな内容なのか全く予想が出来ませんが、とにかくものすごい本なんだ、ということはひしひしと伝わってきます。
しかし、今日これらを凌ぐインパクトを持ったタイトルに出会いました。今日の新歓活動中、BOXに待機していて暇だったので、何とはなしにヤフーオークションのSF本コーナーを端から端まで見ていて、レイ・ブラッドベリのところにさしかかったときです。レイ・ブラッドベリと言えば「火星年代記」や「十月はたそがれの国」、「ウは宇宙船のウ」など叙情と寂寥感をもつ作品を書き、SF・怪奇・ミステリーなど広い範囲で活躍している日本でも有名な作家です。かなりの出版数があるので、調べてみると知らなかったタイトルがぞろぞろ出てくる作家なんですが・・・出展一覧をずらっと見ていると一つだけ異彩を放つタイトルがありました。そのタイトルは『筋肉男のハロウィーン』。はぁ!?と思い、すぐさまクリック。どうやらブラッドベリの作品だけでなく色んな作家を集めたアンソロジーのようです。正式名称は『筋肉男のハロウィーン 13の恐怖とエロスの物語 2』です。恐怖とエロス〜というと僕好みな感じのアンソロジーなんですが、しかしなんてタイトルなんでしょうか。どうやら、ブラッドベリの「 Heavy-Set 」という作品をこういう訳にしているみたいなんですが、どう訳したらこうなるんでしょうか?同じ作品が昔のミステリマガジンにも載っていたので調べてみたら、そこでのタイトルは普通に「大力」だったのに・・うーむ、大瀧啓裕先生もビックリな妙訳です。ちなみに他に入っている作家は、アーサー・マッケンやコナン・ドイルJ・G・バラード、ロバート・ブロック、ハーラン・エリスンなどなど楽しい作家がぞろぞろ入ってます。残念?ながらほかのタイトルは普通の訳でしたが、興味深い一冊です。あぁ、欲しい。今夜は頭の中でマッチョとカボチャがワルツを踊ってます。夢に出るかも。