猫町

猫町 他十七篇 (岩波文庫)

猫町 他十七篇 (岩波文庫)


アルジャーノン・ブラックウッドの「いにしえの魔術」に非常に似ていると平井呈一先生も言っていた短編「猫町」、そしてその他の小説・散文詩・随筆を収録した作品集です。
猫町」は確かにストーリーの筋自体は似ていますが、怪異の見せ方やその説明など違とする点もかなりあったので、全然別物の作品のようなに読めました。ちなみに、最後の解説では編者による「いにしえの魔術」と「猫町」の詳細な作品比較もされています。ただ、実際に朔太郎が「いにしえの魔術」という作品を知っていたかどうかは分からないようです。

他の作品では随筆の「老年と人生」が面白かったです。老いた朔太郎が代表作「月に吠える」を出した頃の自分を、若かったなぁと振り返っていたり、若い頃には分からない中年男が芸者遊びをする気持ちなんかをとうとうと説明していたりします。かなりしょっぱい。
多分、僕もあと20年したら共感できるようになるんでしょう。