達人

今日は達人に会いました。バイト先の図書館で朝っぱらその人は現れました。
年齢は大体60歳中ごろ、ジーパンに迷彩柄のシャツ、黒リュックを背負って寂しくなっている頭にはオレンジのバンダナと言う出で立ち。多分、年相応という言葉を人生のどこかで忘れてしまったのでしょう。
そんなお爺さんは開口一番「空手の本てのぁあるかい?」。話を聞けばこの爺さん、20年も前から空手に打ち込んできたらしいです。レファレンスをしている間も、言葉の端々に「師範代クラス」だの「型」だの格闘家っぽい言葉が飛び出します。あー、この人が世に言う達人とゆう人種なのでしょうか。このルンペンと紙一重の格好も相手を油断させ自分の中の獣に気づかせないためのカモフラージュなんですね。きっと。
そんな達人は空手の参考書を手にした後、今度はインターネットをご所望とのこと。しかし、達人はインターネットの使い方が分からないと言うので、僕が一緒に探してあげることになりました。そこで達人が探していたのは、なんと民間の空手道場の情報でした。すごい、きっと道場破りをするための手ごろな場所を探しているのでしょう。まさに獣だね。
そして1時間後、お目当ての道場が見つかったのかインターネットを終了させた達人は、何故か空手の本と一緒にスペイン語の参考書を借りて帰っていきました。
おそらく目をつけた道場の師範がスペイン人だったのでしょう。達人対スペイン人空手使い。情熱的な一戦になることでしょうね。きっと。