やし酒飲み

やし酒飲み (晶文社クラシックス)

やし酒飲み (晶文社クラシックス)


ナイジェリアの小説です。
無類のやし酒好きの男が、死んでしまったやし酒職人を探しに、死者の町へ旅をする物語。
死神やら、頭蓋骨だけの怪人やら、指から生まれた無敵の赤ん坊やら、象ほどもある赤い魚やら、白くて巨大な樹に住む白い老婆やら、百鬼夜行の如き怪人・怪物がわらわらと現われ、ついでに言えば主人公すらジュジュという魔法の便利道具で変身したりさせたり自由自在。
寓話みたいで、とても自由奔放な作品でした。想像力が行き過ぎるとこっちが置いてかれてしまうこともあるんですが、この作品ではそういうこともなくすらすらと滑らかに物語が入ってきました。面白かったです。
しかし、作中に「なわばり」の感覚とか、赤ん坊に対する恐怖とか、独特の感覚が多く登場しているんですが、これはナイジェリアの人にとっては共通の感覚なんでしょうか。それとも、作者の独特のものなのでしょうか。比較対照がないので、なんとも判別がつきません。