バガージマヌパナス

バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫)

バガージマヌパナス わが島のはなし (文春文庫)


沖縄を舞台にし、19歳の綾乃が、神のお告げでユタ(巫女)になることを命じられ、正直やりたくないながらも、大親友の婆さんオージャーガンマーに相談して・・・とこんな風にあらすじを書くと退屈に見えてしまうので、この作品の魅力を端的に言うと・・・
「ワジワジーッ(不愉快だわ)」
「シニクァーレ(くたばれ)」
「ヤナファーナーヤ、バラリンドー(このあまぁ、叩き殺すぞ)」
・・・などなど、溢れる方言素晴らしい作品です。罵詈雑言のほとんどが方言になっているところなんて、実に生活感がにじみ出てて、その情景が目の前に浮かぶよう。
かなり共通語とは隔たりがあって、正直別の言語なんじゃないか、と思ってしまいますが、沖縄の方言だと言われると、英語やらドイツ語やら中国語やらなどよりずっと身近で共感しやすいから不思議なものです。外国の言葉よりも近いけれど、共通語とは違う、この微妙な距離感、そしてなにより方言からくる生活感やそこから出てくる活き活きとした感情が、話に独特の力強さと空気を与えています。読んでいてとても新鮮な作品でした。
ワジワジーッ!!