満漢全席

満漢全席―中華料理小説

満漢全席―中華料理小説


南條竹則と愉快な仲間達、及び彼らを取り囲む飲と食を中心とした作品集。
やはり南條竹則は『酒仙』の主人公のような酒好き食好きの風流人みたいです。
表題作「満漢全席」はその名の通り南條竹則の満漢全席体験を綴ったノンフィクション作品。『酒仙』によって獲得した日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞の賞金250万を全額つぎ込んで行ったというのだから、豪気と言うか、浪費と言うか・・・。食の話だけでなく、ファンタジーノベル大賞を獲るまでの顛末も書かれていたりしています。
他の収録作は『酒仙』のノリをそのままに、怪奇小説を書いたような作品が並んでいました。
麺好きの友人にとりついた妖怪を調伏する「麺妖」や既にやっていないはずの店で中華丼を食べる「華夏第一楼」など6編が収録。いづれの話も主人公は作者本人と思しき、なんでふ(南蝶)という人物。おまけに、他の登場人物も「満漢全席」に出てくる人ばかりなので、フィクションなのかノンフィクションなのか判別がつきかねるところがあります。
しかし、どの話にしてもとりあえず飯と酒は美味そうに書いてありました。