城の中のイギリス人

城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))

城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))


シュールリアリズム作家の一人マンディアルグの作品です。
シュールリアリズムは、その先駆けとなったネルヴァルも最高傑作と言われるブルトンも、試みの面白さはあっても、分かり難い上、話としてはどうも・・・という印象だったのですが、この『城の中のイギリス人』は話が非常に明快で面白かったです。
あらすじとしては、友人・モンティに誘われ彼の持つ古城に訪れた主人公は、そこでモンティとその従者、そして年齢・肌の色もバラバラの女性達の行なう背徳的な生活を目撃する、というもの。
シュールリアリズムについてきちんと勉強していないので、正直作者の伝えたいかったことがあったとしても、それを掴んでいる自信もありませんが、このエロさはしっかりと堪能できました。
品性が疑われるかもしれないので、あんまり詳しくは書きませんが、作中で行われていることは「二次元ドリームノベル」にグロテスクさを注入した感じ。
ラストも、衝撃的でなおかつ、ウィル・セルフ風の下ネタのようにも読める、笑える展開でした。
フランス男の精神的葛藤や幻覚を読むより、こっちの方が断然スラスラ読めますね。
こういう読み方は作者の意図したものではないのかもしれません。
しかしまぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか。