安徳天皇漂海記

安徳天皇漂海記

安徳天皇漂海記


壇ノ浦の合戦に敗れ、わずか八歳で神器と共に海に沈んだ安徳天皇
そんな彼の魂が高丘親王の如く海を渡り、安らぎの場所を得るまでの物語。
安徳天皇の怒りを静めるため、源実朝が活躍する「東海漂泊篇」と、実朝の死後、日本と大陸を行き来し不思議な話を収集していたマルコ・ポーロが主人公の「南海解離篇」の2部構成で、元寇・壇ノ浦の合戦といった史実や、源実朝の詩歌などが織り込まれた歴史ファンタジーとなっています。
数十年という時間と東西の国をまたにかけたスケール感も魅力ですが、それより何より「祇園精舎の鐘の音〜」で始まる平家物語冒頭に表れている悲哀が作品全体を覆っていてのがなんともいえず物悲しいです。
作中で平家物語が歌われる度に涙が出てきます。


それとは別に漂うトンデモ臭さもいいんですけどね。