新世界より


現代とは一変してしまった未来の世界の姿を描いて、
何故にこんなことになっているのか?という読者の疑問を解消していく過程で、
未来では普通に行われてきたことや営まれていることのグロテスクな正体を晒していくっていう手法は凄くどきどきして面白い。
隠れているものの姿はわりとわかり易いし、疑問が沸いたらあまりそれを溜めることなくすぐに解決されてしまっているので、読書しながらあれやこれやとグロテスクな妄想を肥大させていくような楽しみ方をする場合はちょっと物足りないんだけれど、その代り、目まぐるしい展開や、超能力を手に入れた人間の架空歴史の小話、『地球の長い午後』的な新世界の生態系の姿、等々、様々なアイディアが贅沢に放りこまれているため飽きが来ない。厚めのハードカバー二冊をサクッと読めてしまうのは、すごいよね。
個人的には、超能力で専守制を築いた日本の『帝』達の歴代の残虐行為がつらつらと語られる場面なんかがお気に入り。
自分の戴冠式で人民に三日三晩拍手を続けさせて、止めた奴を片っ端からPKで燃やしていった「大歓喜帝」さんはマジ鬼畜だぜ。