十兵衛両断

十兵衛両断 (新潮文庫)

十兵衛両断 (新潮文庫)


 朝鮮人の妖術にかかり己の肉体を奪われ貧弱な体に魂を閉じ込められた柳生十兵衛が、復讐を誓い日本と朝鮮をまたにかけた修行の旅に出る表題作「十兵衛両断」に始まる、柳生一族の連作伝奇小説短編集。
 「柳生新陰流」対「柳生新陰流」とかはもう当たり前。「柳生新陰流」対「疋田新陰流」、「柳生新陰流」対「朝鮮柳生」、「柳生新陰流」対「妖術師・陰陽師」、はては「柳生新陰流」対「プテラノドン」とかまでやっていて、ほんとフリーダム。
 歴史小説じゃなくて、伝奇小説って感じがビンビンきてる。他の荒山徹作品もさぞすごいんだろう。『徳川家康』とか、文庫化まで待てないかもしれない。

 ああ、歴史って最高のシェア・ワールド。