砂の妖精

 イーディス・ネズビット著/八木田宣子訳 講談社青い鳥文庫
仲のよい五人兄弟が、ある日砂の中から妖精を掘り出して、一日一回願いをかなえてもらえるというチャンスを手に入れるのですが、かなえてもらうたびに微妙に欲しいものとは違ったり、願い事のせいでトラブルを起こしてしまったり・・・という感じの話です。話自体はありふれたものかなぁ、と思うんですが、幼少のおり青い鳥文庫などはほとんど読まずにきた(代わりに江戸川乱歩の「芋虫」や「鏡地獄」を読んで育った)のでこういう話でもまともに読んだのは初めてだったりします。気になるのは、この語りかけ口調。子供が読むために書いてあるので仕方がないとは思うのですが、さすがに「大人っていうものはね〜」とか「子供はね〜」とか作者の持論まで語られてしまうと辟易してしまいます。ついでに、出てくる子供たちがえらく自己中心的で、向こう見ずなんです。お腹がすいたからといって勝手に人のものを食べてしまう。自分からいたずらを仕掛けておきながら、相手と喧嘩になって負けたことに腹を立てて、魔法で大きくなって復讐する。この点はリアルな子供を描いている、と評価されているんですが、読んでいる身としては「お前らどうしてそうなんだ!!」と叱りたくなってきます。ただ、これらの行動に対しての報いは用意されているんですけどね。その報いもなんだか軽いというか・・・ジェイコブの「猿の手」ほど重くすることはないんですが・・・。これは僕が子供という身分から離れたということなんですかねぇ。なんにせよ、読む時期を間違えた本ではあると思います。