宝さがしの子どもたち

 E・ネズビット著/吉田新一訳 福音館書店
打って変わって少年少女の冒険小説です。仲良しの6人兄弟が破産間際の父親を救うため宝探しをしたり商売をしたりしてお金を稼ごうとする、という物語。ただ、彼らは真剣に父親を救うつもりなんですが、やることは遊び感覚で楽しんでやってるんですね。前回の『砂の妖精』でも感じた作者の考え方の押し付けはやはり本作でも健在ですが、本作では語り手を登場人物にゆだねているせいもあり前回よりは苦になりませんでした。話自体も子ども達が如何にしてお金を稼ごうとするか、その方法が多彩ですし、話の中で浮き彫りになる大人と子どもの物事に対する視点の違いもおもしろいです。子ども達が理解が出来なかったり誤解していることも、大人の視点から見てみると意外に厳しい現実が覗いていたり・・・ただ単純な子供向けの児童文学というわけではなく、子どもを中心に描いたある事件の話、という感じでした。『砂の妖精』よりこっちのほうがいいですね。