十二夜

 シェイクスピア著/小津次郎訳 岩波文庫
ワイルドの『サロメ』と同じく台本の形になっています。男装をした女性・ヴァイオラヴァイオラを男性だと思い惚れてしまった令嬢、そして令嬢との結婚を望む公爵、実はヴァイオラはこの公爵に惚れていて・・・と話の中心はこの三角関係になっています。これだけでもなかなか面白いんですが、途中で男装したヴァイオラの姿にそっくりな兄が登場し、兄と妹の「人違い」によって話がユーモア溢れるものになっています。ワイルドの「まじめが肝心」も「人違い」によって笑いを引き起こしていたので、この手法は演劇ではよく使われるもののようですね。幻想的な要素もSF的な要素もないのに、人間ドラマだけでこれだけ面白いというのはやはりすごいですね。