フェアリー・フェラーの神技

フェアリー・フェラーの神技

フェアリー・フェラーの神技

2003年度の英国幻想文学大賞短編部門の受賞作。
『フェアリー・フェラーの神技』という現実に存在する絵画を題材にし、物語を通してその中に秘められた謎に迫っていくという作品・・・なんですが、短編という薄さのせいか、題材に対する掘り下げが中途半端な気がしました。
しかし、なにより主人公の男が最後に母の愛やら恋人の愛やらで救われるのがいただけません。
この作品の主人公・ダニーはアルコールと薬にどっぷりはまった駄目人間でおまけにマザコン、それなのに頭だけは良くて本人もそれを鼻にかけているという嫌なやつです。
こいつは『フェアリー・フェラーの神技』の謎を解かないと自分は社会復帰できない、などと変な理屈をこねて、ぷらぷら旅行して幻覚見て、結局自分では何もしないままなのに、周りの人がやたらと甘すおかげでうまくいってしまいます。まじでダニーへたれすぎ。
そんなわけでこの作品はいまいちでした。
ところで、この作者、マーク・チャドボーンと言う人は現在森の奥に住んでいて、環境保護と呪術に日々を費やしてるそうです。妙な人ですね。