鏡の影

鏡の影

鏡の影

ばたばたとした喜劇のような展開といい、実在の歴史上の人物や出来事を話の中に織り交ぜる手法といい、この前読んだ同作者の『バルタザールの遍歴』と同じような話です。どうも主人公のヨハネスがメルヒオール程毒が無いので、ちょっと語りが勢いに欠けました。最後の弁論対決のシーンとかはカッコよかったんですけどね。
ただ、話自体が『バルタザールの〜』より難解で、最後まで読んでもどうも話の表面だけを見ているような感じが消えませんでした。実際、この話のタイトルが何故『鏡の影』なのかも分かりませんでしたし・・・。
でも、読み解きたいと思う一方で、これを再読するなら『バルタザールの〜』の方がいいな、とも思います。