鉄塔武蔵野線

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)


唯一無二の「鉄塔文学」。
主人公は鉄塔をこよなく愛する小学5年生の男の子。ある日、鉄塔に<武蔵野線75−1>と記されたプレートがついているのを見つけた彼は、<武蔵野線1>にまでたどり着けば秘密の原子力発電所があるのでは?と思いつき、そこを目指してただひたすら鉄塔をたどっていくという話。
とにかく、鉄塔の描写が非常に細かくて作者のマニアぶりがうかがえます。しかし、それでいて子供の想像力で勝手に「男性型」「女性型」「婆ちゃん型」などと分類分けまでしていく様は微笑ましいし、懐かしい。あぁ、鉄塔ではなかったけど、こういうの昔やったなぁ。
ちなみに、第六回ファンタジーノベル大賞受賞作。何故この作品がファンタジーなのかというのは、巻末で色々説明があります。その解説も選考委員ひとりひとりの考えが独特で面白いです。