夜市

夜市

夜市


第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
表題作「夜市」ともう一篇「風の古道」が収録されています。
何でも売っている不思議な市場「夜市」、人知れず存在し異界にすら通じる「古道」。
どちらも、様々な姿をした妖物が入り混じり、人の社会とは違う理が支配する、現実とは少しずれた場所が舞台になっています。
「絵が浮かんでくる」と荒俣宏に評されていましたが、なるほど、確かに読んでいて作中の情景が綺麗に浮かんできます。暗闇をぬけたところにあるがやがやとした妖しげな市や、うっそうとした竹林をぬって通っている静かな道。どことなく、『千と千尋の神隠し』や『ゲゲゲの鬼太郎』を思い起こさせるようなイメージです。
見てみたいような、怖いような、そんな懐かしい感情に触れる情景をうまく登場させた作品でした。