不在の騎士

不在の騎士 (河出文庫)

不在の騎士 (河出文庫)


ついでに、カルヴィーノをもう一冊。
これも≪歴史≫三部作の一つです。
中身が空っぽの鎧だけの騎士の話。
彼は、空っぽだけど、主君には忠実で、規則をしっかりと守り、立派な騎士の誇りを持つ、まさに理想の騎士です。だけど、『まっぷたつの子爵』の≪善半≫同様、その正しさが周りの人間に合いません。しかも、なんだか自分でそこらへんを気にしているあたり、すごいかわいそうなやつですよ。
この作品も内容が現実の問題にすっぽりと入り込んできます。「存在しないはずなのに、存在する」騎士や、それと似たような状態の他の登場人物たちを通して、色々と考えさせられました。
ただ、どちらかと言うと『まっぷたつの子爵』の方が面白かったです。