汝、神になれ鬼になれ

小説じゃなくて漫画です。
数ある大二郎の作品の中から、人が神や鬼になったりモノが人になったりする話を集めた短編集です。
その中にもSFっぽい作品やらサスペンス風の作品やらギャグとホラーを織り交ぜたような作品やらなかなか多彩ですが、どの話もすべからく気持ちの悪さが漂っています。
ただ、僕にとって一番楽しめるのはやはり「生命の木」や「六福神」のような民俗学を織り交ぜた話です。陰鬱な田舎の空気とそこで行なわれる因習に込められた奇怪さに、法悦すら感じます。特に「闇の客人」は最高だね。
て、此処まで書いていたら、要するに「妖怪ハンター」を買えばよかったんじゃないかと思い当たりました。なんてことだ。


そういえばこの本、最初は図書館で借りようかと思っていたんですが、検索してみたところ、僕の県の図書館全館(県立・私立含む)で一冊も所蔵がありませんでした。というか、大二郎の漫画自体全く所蔵されていませんでした。漫画が卒論に使えるこのご時世に、一定の評価を得た漫画家の作品が、一つの県の図書館に全く無いというのは、図書館の存在意義や機能上の問題があるように思えます。