ライチ☆光クラブ

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)

ライチ☆光クラブ (f×COMICS)


小説じゃなくて漫画です。
80年代に活動していた実在の劇団『東京グランギニョル』の舞台を漫画化したもの。
グランギニョル」というのは、フランス語で「なんてグロいんだ!!」とかいう意味らしく、そんな名を語る『東京グランギニョル』はもちろん血あり臓物ありの物凄いものだったらしい。ただ、この劇団の目指したものはスプラッタではなく、退廃的な「エロ・グロ・ナンセンス」とか「耽美」の世界。今はもう解散してしまったけれど、かなり独特の印象的な舞台だったとか。
この『ライチ☆光クラブ』もエロ、グロ、ナンセンス、廃墟に耽美に少年愛と好きな人はたまらない雰囲気を宿した作品になっています。劇の様子を想起させる工夫を凝らした展開やコマ割が、実際の上演の感覚や空気をも伝えてくれ、こんなものを劇でやっていたのかと思うと20年前が羨ましくなります。
ただ、話としてはそれほど面白いものでもなく、あくまでこの劇団やこの空気が好きな人向けのもの。雰囲気だけ楽しんであとは微妙というこの感覚、海野十三の怪奇作品に似ています。