エデンの黒い牙

エデンの黒い牙 (創元推理文庫)

エデンの黒い牙 (創元推理文庫)


 「幻想文学史上最も危険な傑作」だなんて荒俣が煽るもんだから、買っちゃったじゃないか。そして、読んじゃったじゃないか。

 作品の内容を信じちゃったオカルトな人がいっぱい居たって言う意味で「最も危険な傑作」らしく、付随するエピソードは面白いんですけど、話自体は竜頭蛇尾な感じであまりぱっとしませんでした。『吸血鬼ドラキュラ』もイマイチだったので、やっぱり、長編のホラーは僕には合わないのかもしれません。
 しかし、主人公・モンドリックのあの主体性のなさはちょっと驚愕ものですね。そりゃあ、魔女の魅力とか太古の忌まわしき一族の血とか、凄そうなのにひきづられちゃうのも分かりますけど、もうちょっと意志の力とか人間としての底力とか熱い魂の響きとかを見せて欲しかった。モンドリックがもっと頑張れば、作品自体の緊張感とかラストのインパクトもぜんぜん違ったと思うのですが…『吸血鬼ドラキュラ』の誘惑された女の子の方がまだ頑張ってたよね。