年間日本SF傑作選 超弦領域

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)

どれを読んでも面白かったけれど、お気に入りを3作ほど。
・「アキバ忍法帖」 倉田英之
本書の中でもダンチでバカバカしいです。
山田風太郎トリビュートで、かの内容にアキバ・オタク要素をぶっかけた一作。
抱き枕使いとかコスプレマスターとかメイド野郎とか、変な奴らがたくさん集まって通り名言ってれば、そりゃ「十傑集」効果で面白いですよね。
初出が講談社の『パンドラ Vol.1』てことは、続巻買えば続きが読めるのでしょうか。でも、ネタが放つ一瞬の輝きが面白い作品だから、長く読んだら読んだでぐだぐだになりそうな気もします。
・「幻の絵の先生」 最相葉月
星新一 一〇〇一話をつくった人』の著者のノンフィクション。
地道な調査から意外な発見があって、もうしかしたらこうなのか・ああなのかと想像をめぐらしていき、その想像を確かめるためにまた調査ってのは、なんか学問の愉しみですよね。
星一の家族関係」という中身も凄いですが、僕はこの「調査」の面白みの方に惹かれてしまいました。
・「青い星まで飛んでいけ」 小川一水
舞台は広く、時間は長く、異星人の文明は果てしなく。
作中のちょっとした場面変化だけでも千年とか一万年とか経っていて、その一々描かれる広大さに、一々「すげえなぁ、でけえなぁ」と感じてしまう。でっかいものに対する感動や畏怖の感情が、僕がSFを楽しむ時の勘どころのようです。